茂木町の行政サービス、人口が減ってもなぜ崩れないのか?

茂木町って、なんでこんなにしっかりしてるんだろう?

人口が減れば、普通は行政サービスも細っていく。
窓口の数、道路の補修、消防、ごみ収集、図書館の維持…どれも少しずつ弱っていくのが当たり前。
でも、茂木町を通るたびにそう感じないんです。

私は那須烏山市に住んでいて、国道294号や県道27号を使って茂木方面へ行くことがあります。
道の駅もてぎで買い物をして、ふみの森もてぎでひと息ついて。観光地としても生活の拠点としても、町がきちんと機能しているのを目にするたびに思います。

「人口、減ってるんじゃなかったっけ?」

そんな疑問から、同じくらいの人口規模の東伊豆町(静岡県)と蔵王町(宮城県)と比べながら、茂木町の行政サービスの維持について、自分なりに考えてみました。


町の負担を減らすしくみ 広域連携が下支えに

まず一番大きなポイントは、茂木町がすべてを自前でやろうとしていないこと。

消防は芳賀地区で広域連携されています。
茂木分署が町内にあるけれど、運営は真岡市や芳賀町などと一体。
人口が減ると、単独で消防を抱えるのはきつくなる。人員や装備の固定費を地域でシェアすることで、持続性が出てくる。

ごみ処理も、同じように広域のエコステーションを活用していると思われます。
町内に高コストな処理施設を持たなくてもいい。
住民から見たら、いつも通りゴミを出すだけ。でも、その裏側の仕組みが効率的に整っている。

こういう「見えないところの合理化」が、町の暮らしを静かに支えているように感じました。


一つの建物に、いろんな役割を詰め込む工夫

茂木町は、施設の複合化もかなり上手いと思います。

たとえば「道の駅もてぎ」。観光客の拠点でありながら、隣に「茂木町防災館」が併設されています。
平時は人が集まる場所、非常時は災害対応の拠点。この“平時と有事のハイブリッド”が、自然に組み込まれている。

「ふみの森もてぎ」も図書館というより、文化交流の拠点。
学習室もあり、イベントスペースもあり、単なる“本のある場所”に留まらない。
これも「ここに行けば、何かある」状態を作っている好例だと感じました。

建物の数ではなく、使い方でサービスの厚みを出す。これが茂木流のやり方なのかもしれません。


少ない人手でまわす仕掛け 委託と予約がカギ

人口が減れば、人も減ります。役場や施設の職員も限られてくる。
でも、それを補うための設計がされているように見えます。

たとえば、茂木町民体育館や並松運動公園など、利用にネット予約を取り入れているところが多い印象。
予約システムがあると、受付に常時スタッフを置かなくても、スムーズにまわせる。
利用者にとっても便利ですし、運営側の負担も減る。

また、施設管理の一部は指定管理や業務委託に任せている部分もありそうです。
町がすべてを直営で抱えない。これも、人が少ない時代に必要な考え方。


東伊豆町の特徴 海沿いの地形と観光の二面性

東伊豆町(静岡県)は、国道135号沿いに町が細長く伸びる、いわゆる“線の町”。[東伊豆町の人口についての記事]

伊豆熱川駅や伊豆稲取駅など、集落が連続している分、行政サービスの導線は組みやすいはずです。
水道管もごみ収集ルートも一本道で済むというのは、維持管理では強い武器になります。

ただし、自然災害のリスクは高め。
崖や川、海と隣り合わせなので、地震や台風のときの避難や復旧に手間がかかる。
防災力が常に問われる町でもあります。

そして観光。熱川温泉、稲取温泉など、有名な温泉地が点在し、観光収入は大きな柱。
でも観光は波がある。天候、景気、感染症…影響を受けやすいのも事実です。


蔵王町の特徴 広がる地形と冬のハードル

宮城県蔵王町は、山のふもとにある“面の町”。[宮城県蔵王町の人口推移]

遠刈田温泉やスキー場など観光の核はあるけれど、町全体が扇のように広がっている分、行政サービスの手も広く必要になります。
しかも、冬がある。雪が降る、路面が凍る。
道路の除雪や凍結対策にかかる手間やコストは、人口が減った今、かなり重く感じられるはず。

観光はあるけど、季節ごとの波が激しい。
人が集まるタイミングに合わせて施設や交通をどう整えるか。そうした戦略も必要な町です。


共通するのは「全部を抱え込まない」こと

茂木町、東伊豆町、蔵王町。人口規模はほぼ同じでも、地形や環境はまったく違う。
だけど、共通して見えてきたのは「行政サービスをすべて自前で維持しない」スタンス。

広域で連携したり、複数の機能を一か所に集約したり、外部委託や予約システムで人手をうまく分散させたり。
それぞれの町が、その地形と環境にあったやり方で工夫をしている。

道の駅もてぎと防災館のようなセット運用は、茂木町らしい合理性。
東伊豆町は温泉地を拠点に、蔵王町はリゾート周辺に機能を集めているように見えます。


茂木町の行政サービスは「変えながら守る」

最後に改めて、茂木町の行政サービスが崩れていない理由をまとめてみます。

・重たい機能(消防・ごみ)を広域で支えている
・建物を複合化して、一か所で多機能を実現している
・委託や予約システムで、少人数でも回せるよう設計している
・観光(モビリティリゾートもてぎ)を活かして町外の人流を取り込んでいる

でもやっぱり最後に残るのは、道路と移動の問題。
幹線道路(国道123号・294号、県道69号・51号)は強いけれど、集落の末端まで含めた維持となると、課題はまだまだある。

私の仮説としては、「茂木町は形を変えながらサービスを守っている」。
同じ方法を続けているわけじゃない。変化を受け入れ、設計を柔らかくして対応している。
だから、崩れていかないのだと、私は感じています。

茂木へ向かうたび、国道294号を走りながら思います。
「この当たり前が、どれだけの知恵と我慢で成り立っているのか」と。

そんなふうに考えると、町の姿がちょっと違って見えてくるのです。


 

茂木町公式サイト  人口推移、人口動態、外国人、年齢別人口、産業別就業者数